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「国松文庫」のこと

言語社会研究科言語資料室には、「国松文庫」という名の貴重なコレクションが収蔵されています。

『三省堂独和新辞典』の共同監修、小学館『独和大辞典』編集長を務めたことで知られるドイツ文学者・国松孝二氏(1906-2006)は、ゲーテ、ヘッセ、シュトルム、シュヴァイツァーなどの翻訳を多数手掛けてドイツ文学の紹介に努め、東京大学を始めとする多くの学府で教鞭をとるかたわら、ドイツ語の古書を中心とした蒐書家としても知られていました。氏が集めた蔵書はタイトルにして12,000点を超え、総数は25,000冊に及ぶ膨大なもので、そのコレクションは現在のデジタル化の波に逆らうように、「グーテンベルクの銀河系」の時代をそのまま体現しています。

2002年1月、東京大学教授の柴田翔氏(現在は名誉教授)の仲介により、国松氏の全蔵書が言語社会研究科に一括して寄贈されることが決定し、国際研究館6F言語資料室に電動式書架を増設、同年8月に搬入・架蔵の作業に着手しました。蔵書の名称は「国松文庫」とされ、以後十数年に及ぶ資料整理の作業を継続し、2016年3月に暫定的な整理が終了しました。

ゲルマニスティーク諸領域を中心に、中世南欧史、ニーチェを中心とする仏独哲学に加えて、美術、社会、文化史など、コレクションは多岐に亘っており、中にはもはや入手不可能と目される貴重な書籍も多々含まれます。2016年12月には、「国松孝二が旅した本の世界――国松文庫の整理を終えて」というタイトルを冠した記念レクチャーを開催し、これに合わせて、国松文庫の中から厳選された貴重な古典籍や豪華複写本が国松氏の著作物・翻訳書と共に展示され、参加者一同の目と知性とを楽しませました。

国松文庫所蔵品の展示

国松文庫は特殊資料の扱いとなっており、貸出は行っていませんが、時と機会に応じて、類まれな文化遺産に触れる機会を提供したいと考えています。