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【ゲストレクチャー報告】「商法講習所と鯛味噌屋――一橋大学の起源を求めて 

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  • 日時:2015年11月6日(金)15:00 - 16:45
  • 場所:一橋大学 国際研究館4階大教室
  • 講師:酒井雅子 先生

一橋大学大学院言語社会研究科では学芸員資格科目を開講し、学芸員資格を取得できる体制を整えている。今回は「博物館実習U(学内実習)」の授業の一環として、ゲスト講師に酒井雅子先生をお招きして、ゲストレクチャー「商法講習所と鯛味噌屋——一橋大学の起源を求めて」が開催された。当日は秋晴に恵まれ、開始時間には25名の聴講者で席が埋まった。創立140周年の節目にあたる今年にふさわしく、聴講者の年齢層は幅広く、本学の名誉教授、卒業生、現役の教職員、学部生、院生を含んでおり、同席者一同、ゲストの酒井先生の講義に釘付けとなった。

[会場風景]

 

 講義の開始時刻になると、授業担当者の小泉順也先生より、酒井先生のプロフィールが紹介された。酒井先生は、本学法学部のご出身で、ベンチャーキャピタル勤務の後、有限会社社会責任投資研究所設立。2014年度は、非常勤講師として「一橋大学の歴史」について本学で講義をされている。

[酒井雅子先生]

 

 いよいよマイクが酒井先生に手渡されると、一橋大学の発祥地は果たして鯛味噌屋の2階だったのか、その核心へと迫るレクチャーがはじまった。手元にはレジュメ5ページ分のほか、明治30年代の銀座の古地図や、鯛味噌屋と商法講習所があったとされる尾張町二丁目(現在の銀座6丁目)界隈の店の変遷を独自に調査した貴重な資料が配布された。銀座煉瓦街、勧工場などの様子を描いた古写真や岸田劉生の作品のイメージを見た後、酒井先生の手作りの模型により当時の町並みや、建築構造が示されてゆく。途中、当時の洋服裁縫店が店先に設置した機械仕掛けの人形を再現したフィギュアが登場すると、携帯カメラで撮影する聴講者らの和やかな光景も見られた。

 

 明治10年に商法講習所を卒業した成瀬隆蔵氏の当時の記憶、街並みの変遷、一橋大学附属図書館福田名津子専門助手による論考(註)、ならびに銀座煉瓦家屋の当時の構造などによって、商法講習所の最初の姿が明らかにされた。酒井先生の謎解きにも似たスリリングな講義に聴講者一同は息を呑んだのである。

[鯛味噌屋があった尾張町二丁目の再現模型]

 

 商法講習所の開業から140年を経て、大型デパートが立ち並び銀座の街並みは大きく変貌をとげた。現在、新たなる銀座地区の再開発が進行しており、今後さらに周囲の景観は一変するに違いない。その前に記憶の中の風景と古地図を整理し、あらためて商法講習所が開校した場所を周辺の景観とともに探ることは、140年の大学の歴史をたどる上でもきわめて意義深い。質疑応答が行われ、木挽町校舎の起源に関してもぜひ調べて欲しいという意見などが飛び交った。予定終了時刻を過ぎる中、無事にレクチャーは終了した。その後も模型を前に、聴講者と話される熱心な酒井先生が印象的だった。

 

(註)
福田名津子「商法講習所尾張町仮校舎「鯛味噌屋2階説」の再検証」、『一橋大学附属図書館研究開発室年報』第3号、2015年 
http://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/rs/bitstream/10086/27545/1/rdo0000300030.pdf

 

文責:大学院言語社会研究科/宮本康雄(後期博士課程)

 

 

 

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