English

告知・催事

催事・発信/新着イベント

スロヴェニア映画上映会@一橋大学 vol.1 ゴーラン・ヴォイノヴィッチ『ピラン/ピラーノ』

ポスター
  • 日時:2017年12月21日(木)  17:15(16:45開場)~20:00
  • 場所:一橋大学 国立キャンパス(東)国際研究館4階 大教室
  • 主催:スロヴェニア映画上映会/一氾文学会
  • 日本語字幕つき、解説・パネルトークあり
  • 入場無料、予約不要|先着60名
  • 問い合せ先:武村 知子
企画概要

1991年に初めて独立を果たしたスロヴェニア。ゲルマン、ラテン、スラヴ、マジャールの交接点にあって常に時代と政治体制の激動に揉まれながらも強固なアイデンティティを以てはぐくまれてきたスロヴェニア文学・文化の豊かさを、その際立った多言語・多文化性と錯綜した歴史に焦点を当てつつ映画を通じて紹介します。年一回の開催を計画しています。

多くのスロヴェニア映画では複数の言語が用いられ、字幕もないことがしばしばです。翻訳字幕なしで耳で聴くほうがその多言語性を直接に感じとれるのも確かですが、当会では、まずストレスなく映画を楽しみつつ理解を深めることを重視して、オリジナルの日本語字幕を制作して上映します。また、上映前後に歴史・文化と映画製作背景の簡単な解説を行う一方、そうした背景から離れて純然とひとつの映像作品として映画を考えるセクションも設け、スロヴェニア地域研究と映像研究の双方からのアプローチを試みます。

くつろいだ雰囲気の中で知覚と思考をのびやかに展開するために、上映後にささやかなお茶とお菓子のおもてなしを計画しています。

今回の映画『ピラン/ピラーノ』
作家紹介

ゴーラン・ヴォイノヴィッチ Goran Vojnović、1980年リュブリャーナ生まれ。映画関係のアカデミーを卒業した後、短編映画製作の傍らコラムニストとしても活動、2008年の処女小説『出ていけチェフール!Čefurji raus!』で、毎年スロヴェニアの最も優れた長編に与えられるクレスニク賞を受賞した。「チェフール Čefur」とは、旧ユーゴ系の(スロヴェニアにとっては全て南方の旧共和国からの)移民やその子孫に使用される蔑称。特に独立後のスロヴェニアに移住してきた、セルビア、ボスニア系の第二、第三世代で「セルビア・クロアチア(・ボスニア)語」を仲間内で使用する若者達を指す為に使用される。移民を背景に持つ若者たちのアイデンティティの揺らぎや葛藤を、セルビア語、ボスニア語の入り混じった口語を駆使して活き活きと描いた本作は、2013年にヴォイノヴィッチ自らが監督を務め映画化された(2016年「シネマ・ユーゴ2016」にて日本語字幕付きで上映)。すでに処女長編映画(監督、脚本)『ピラン/ピラーノ Piran-Pirano 』(2010)で映画作家としても高い評価を得ていたヴォイノヴィッチは、以後、文学・映画双方にまたがって活躍中である。

長編第二作『故国、ユーゴスラヴィア Jugoslavija, moja dežela』は2011年に出版され、その年のクレスニク賞を再び受賞。旧ユーゴ戦争時に行方不明となった父親探しが主な筋となった本作でも旧ユーゴの人々が中心的な役割を演じ、スロヴェニアに行き着いた主人公のアイデンティティの問題が前作とは異なる落ち着いた文体で描かれている。

2016年に発表された長編第三作『無花果(イチジク)Figa 』もやはりユーゴスラヴィアというトポスを舞台としている。円熟味を増した文体で、彼自身のルーツであるイストリア半島出身の三世代にわたる家族の物語を自伝的要素も織り交ぜながら叙事詩的に描いた本作もクレスニク賞を受賞し、デビュー以来全作で本賞を受賞する快挙を成し遂げている。

映画あらすじ

ピランは、湾をはさんでトリエステの向い側、スロヴェニアの突端にある海辺の街。ボスニア人パルチザンの主人公は、戦後、イタリアからユーゴスラヴィアが奪還したピランに残り、スロヴェニア人の妻と長年ここで生活していた。妻の死後、あるイタリア人の男が自分の住まいにやってくる。彼はユーゴのパルチザンに追放されるまでその家に住んでいたイタリア系の御曹司で、二人の男は主人公の妻を巡って一時関係があったが、50年後に再会した二人は互いを認識できず、言葉も理解できない。映画では二人の語りを通じて過去が回想され、記憶が構成されていく。セルボ・クロアチア語、イタリア語が主に使用される。

プログラム
17:15 - 17:30 開会挨拶および作家・作品紹介
三田 順(北里大学/比較文学)
17:30 - 19:10 本篇上映(約100分)
(日本語字幕製作:三田 順、山崎 信一)
19:15 - 19:30 背景と歴史解説
山崎 信一(東京大学/現代バルカン史)
19:30 - 20:00 パネルトーク
武村ゼミナール(一橋大学言語社会研究科)

司会:武村 知子(一橋大学)