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スロヴェニア映画上映会@くにたち vol.2
マルコ・ナベルシュニック『雄鶏の朝食Petelinji zajtrk』
- 日時:2019年1月20日(日) 15:00(14:30開場)~18:30
- 場所:国立市公民館 地下ホール
- 主催:スロヴェニア映画上映会/国立市公民館/言語社会研究科/一氾文学会
- 日本語字幕つき、解説・パネルトークあり
- 入場無料、要予約|先着50名
- 予約・問い合せ先:TEL 042-572-5141(公民館)
企画概要
1991年に初めて独立を果たしたスロヴェニア。ゲルマン、ラテン、スラヴ、マジャール文化の交接点にあって常に時代と政治体制の激動に揉まれながらも強固なアイデンティティを以てはぐくまれてきたスロヴェニア文学・文化の豊かさを、その際立った多言語・多文化性と錯綜した歴史に焦点を当てつつ映画を通じて紹介します。年一回の開催を計画しています。
多くのスロヴェニア映画では複数の言語が用いられ、字幕もないことがしばしばです。翻訳字幕なしで耳で聴くほうがその多言語性を直接に感じとれるのも確かですが、当会では、まずストレスなく映画を楽しみつつ理解を深めることを重視して、オリジナルの日本語字幕を制作して上映します。また、上映前後に歴史・文化と映画製作背景の簡単な解説を行う一方、そうした背景から離れて純然とひとつの映像作品として映画を考えるセクションも設け、スロヴェニア地域研究と映像研究の双方からのアプローチを試みます。
くつろいだ雰囲気の中で知覚と思考をのびやかに展開するために、上映後にささやかなお茶とお菓子のおもてなしを計画しています。
今回の映画『雄鶏の朝食』
作家紹介
監督のマルコ・ナベルシュニック(Marko Naberšnik)は1973年生まれ。出身地のマーリボルは映画の主人公ヂューロの出身地でもある。現在のスロヴェニア映画を代表する若手監督で、2012年の『シャンハイŠanghaj』では、社会性と娯楽性を巧みに織り込みながらスロヴェニアのロマの家族を伝記的に描き高い評価を得ている。スロヴェニア映画として最も大きな成功を収めた作品の一つとして知られている本作『雄鶏の朝食』は、スロヴェニアの辺境であるプレクムーリェ地方ののどかな風土を背景に、旧ユーゴと独立スロヴェニアを象徴する二つの世代の交流と別離とが詩情豊かに描かれる。
原作者のフェーリ・ラインシュチェック(Feri Lainšček)は1959年生まれ。この映画の舞台となっているプレクムーリェ地方出身で、幅広い世代に人気のあるスロヴェニア作家。小説の他、子供向けの作品、詩、戯曲、シナリオ、作詞も手掛けている。プレクムーリェ方言を用いた作品もある。
映画あらすじ
スロヴェニア独立まもない頃、スロヴェニア第二の都市マーリボルで働いていた若い自動車工のヂューロは、工場の業績悪化のあおりを受けて解雇され、転職先として紹介されたプレクムーリェ地方の自動車工、ガーヤシュの工場兼自宅に住み込みで働き始める。ユーゴ時代を懐かしむ昔気質の親方ガーヤシュのもとには毎晩のように地元の友人が訪ねて来て酒盛りをしている。故郷の街とはまるで別世界のような辺境のこの村でヂューロは、荒っぽいが親切な親方ガーヤシュの指導のもと熱心に働く一方、親方の友人のひとりレーペッツの妻と不倫関係となり、人目を忍んで逢瀬を重ねる。夫のレーペッツはナイトクラブ(兼売春宿)を経営する裏社会の男で、何かと理由をつけてガーヤシュに車の修理をただでさせている。
ある日、クロアチアを代表する女性歌手セヴェリーナの歌を知ってガーヤシュは夢中になる。ユーゴ時代に経験したとある歌姫とのささやかな思い出もよみがえり、セヴェリーナに恋い焦がれるガーヤシュ。その思いをレーペッツは利用し、これまでの借金を帳消しにさせようとするが……
プログラム
- 15:00 - 15:15 開会挨拶および作家・作品紹介
- 三田 順(北里大学/比較文学)
- 15:15 - 17:20 本篇上映(約125分)
- (日本語字幕製作:三田 順、山崎 信一)
- 17:40 - 18:00 背景と歴史解説
- 山崎 信一(東京大学/現代バルカン史)
- 18:00 - 18:30 パネルトーク
- 武村ゼミナール(一橋大学言語社会研究科)
司会:武村 知子(一橋大学)