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東京オリンピックをアートの視座から問う 1940/1964/2020

鵜飼哲公開ゼミナール ポスター
  • 日時:2019年12月13日(金)18:00~20:00
  • 場所:一橋大学・東キャンパス 第3研究館3階 研究会議室
  • 主催:一橋大学大学院言語社会研究科 鵜飼哲ゼミナール
  • 建物配置図:https://www.hit-u.ac.jp/guide/campus/campus/index.html
  • 事前申し込み不要
  • 問い合わせ:鵜飼 哲
【ゲスト】

卯城 竜太(Chim↑Pomリーダー)

Chim↑Pomは、2005年に東京で結成されたアーティストコレクティブ。時代のリアルを追究し、現代社会に全力で介入した作品を次々と発表。世界中の展覧会に参加するだけでなく、自らもさまざまなプロジェクトを展開する。また、東京電力福島第一原発事故による帰還困難区域内で、封鎖が解除されるまで「観に行くことができない」国際展「Don’t Follow the Wind」の発案とたちあげを行い、作家としても参加。以来、さまざまな「ボーダー」をテーマにしたプロジェクトも展開。2015年、Prudential Eye AwardsでEmerging Artist of the Yearおよびデジタル・ビデオ部門の最優秀賞を受賞。

【概要】

「令和」と元号が変わった2019年、アートをめぐる状況は予期せぬ出来事の連続であった――あいちトリエンナーレにおける「表現の不自由展・その後」の展示中止(そして条件付きの再開)、文化庁の同芸術祭への補助金不交付決定、オーストリアの「Japan Unlimited」展における現地日本大使館の後援取り消し…。

2020年に開催予定の東京オリンピックを控えた文化事業が乱立するなか、アートはどこに向かうのだろうか。遡ってみれば、東京へのオリンピック招致は、紀元二千六百年記念行事として準備が進められていたものの、国際情勢によって返上された1940年、また戦後復興を世界に示すために開催された1964年と、政治とは分かち難い歴史を持つ。そして2020年にあっては福島原発事故が「アンダーコントロール」された復興五輪として提示されている。現在起きているアート関連の出来事についても、東京オリンピックとの強い関連性を感じないではいられない。

アートコレクティブChim↑Pomは、2020年に向けて変わりゆく東京の街に反応するようなプロジェクト『また明日も観てくれるかな?』(2016年)を手がけ、早くから東京オリンピックとアートの関係を注視してきた。また、冒頭に挙げた「表現の不自由展・その後」において、福島第一原発をテーマにした『気合い100連発』(2011年)を出品しており、同展の展示再開を目指すプロジェクトであるReFreedom_Aichiを他の参加作家らと立ち上げた。参加した「Japan Unlimited」展についても、リアクションを起こしている。しかしながらそこに見出されるのは、明確な政治的主張ではなく、我々が生き抜く「現代」と対峙する姿、それを鋭い感性で表現する作品である。

Chim↑Pomのリーダー、卯城竜太氏は近刊の『公の時代』(朝日出版社)において、過去の東京オリンピックに言及し、「『個のエクストリーム』に人々が社会性やモラルを求め、公権力は検閲をかける(…)公尊重の『公の時代』」である現在の状況が1940年の幻の大会時と類似しているとも指摘している。昨今のアート事情の渦中にあって、過去を参照しつつ様々に発信を続ける卯城氏を招聘し、「東京オリンピックの時代」におけるアートの可能性について問う。

【プログラム】
1.問題提起
鵜飼 哲 (一橋大学教員)
2.東京オリンピックをアートの視座から問う
「1964年の『アンガージュマン』を踏まえて」:長 チノリ(博士後期課程単位取得退学)
「不死なる前衛と東京オリンピック」:井上 絵美子(博士後期課程)
3.Chim↑Pomの活動について:卯城 竜太(Chim↑Pomリーダー)
-----休憩-----
4.登壇者全員+会場による討論