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教員紹介

教員と研究領域/第2部門(日本語教育学位取得プログラム)

早川 杏子

研究室:国際研究館2階
オフィスアワー:随時(要予約)
連絡先:メールアドレスはスパム対策のため画像化されています
研究概要とメッセージ

日本語教師のキャリアをスタートしたのは台湾ですが、その経験が今のメインワークの研究につながっています。主に、語の表記や音韻などの情報がテキストの理解(とりわけ聴解)処理にどのように影響を与えるのかということに関心を持っています。日本語は3つの表記を使い分けているという点で、他の言語と比べても非常にユニークな特徴を持っています。この日本語の表記の特性が、第二言語として日本語を学ぶ学習者の言語習得において様々な側面で関与してきます(日本語の場合は漢字(語)がしばしば話題になります)。

しかしながら、文章を読んだり聞いたりする間、表記が学習者の理解にどのような作用をもたらしているのかは目に見えない上、読み手/聞き手自身にとっても意識化が難しいため、言語を対象にした心理学領域を中心に、プロセス下の処理を知るための方法が模索されてきました。現在は先端科学技術の発展とともにそうした無意識下の言語処理を可視化するための手法も広がりを見せつつあり、当ゼミでも積極的に心理言語学(または言語心理学)的な手法に基づいた調査実験研究を行っていく予定です。最近は日本語を母語としない児童生徒の漢字学習を支援するための基礎研究も行っています。

主たる研究では多くの場合漢字や語彙を扱うことから、当然のことながら扱うデータは比較的大きいものとなります。大量のデータを扱う上では大変なこともありますが、そこからしか見えてこない景色もまたあることの面白さ・奥深さを、きっと知ることができるでしょう。

また、言語を科学的に捉えるためには、およそ誰もが客観的であると考える指標や方法を用いてその事象のありようを可視化する必要があります。また、可視化するだけではなく、可視化されたデータを適切な手続きと解析を経て初めて、その事象に対する解釈が可能となります。したがって、定量的な調査や実験研究をする上では、そのありようを適切に解釈するための統計解析の知識は欠かせません。ゼミを志す方は、少なくとも基礎的な推測統計に関する本を読み、統計解析の知識を身に付けておいていただければと思います。

これまで、中米のマヤ語諸語の一つである少数言語、カクチケル(Kaqchikel)語の調査実験のためにグァテマラに行ったり、日本語を学ぶ学習者を対象に台湾で言語調査実験を行ったり、時には研究室を飛び出して研究を行ってきました。異文化での経験は間違いなく世界を広げてくれると思います。ぜひ皆さんにも日本国内だけでなく海外にも積極的に飛び出し、フットワーク軽く行動することでしか得られない貴重な経験をし、ご自身の活躍の舞台を広げていってください。

2023年3月