授業紹介
「アジアをつなぐことば」
10年近くにわたって開講されていた人気科目のひとつに、「アジア共同体論~アジアをつなぐことば」というリレー講義がありました。これは「ワンアジア財団」からの寄付講義として、基礎講義「言語と社会A」の枠組みで毎年継続的に開講されていたもので、現在は終了していますが、言語社会研究科の特色のよくあらわれた授業だったので、記録を兼ねてここにご紹介します。
現在の世界では、グローバリゼーションの進行とともに国民国家の枠組みがしだいに相対化されつつあると同時に、国家を超えるような地域共同体への関心が高まっています。この授業では、言語や文化に関わるさまざまな現象を「アジア」という広がりのなかでとらえることによって、国家を超えた文化の在り方への認識を深め、文化面での「アジア共同体」の可能性を探っていきました。
講義の目的は、言語と文化の視点から、アジア的空間のなかの多様性と相互性を理解し、「アジア共同体」がそれぞれの社会の歴史や文化に支えられた豊かな多様性の世界であることを明らかにしていくことでした。豊かな人脈を生かして多彩なゲストスピーカーを招聘し、毎年の授業が織りなされました。
Hitotsubashi Quarterly Vol. 40 (Oct 2013)
このリレー講義は毎年すべてがヴィデオ記録されており、講義映像の一部をこのページで視聴できるようにしました。
2013年度の講義映像より
第3回 「異文化コミュニケーションとは何か?」(2013年4月30日)
講師:平田 オリザ(劇作家)
2018年度の講義映像より
第2回 「われら植民地の民と近代 ――記憶の声、沈黙、東アジアの片隅から――」(2018年4月30日)
講師:姜 信子(作家)
第6回 「ネパールで曼荼羅修行、ヒマラヤを描く旅」(2018年6月4日)
講師:「彩」(画家)
2019年度の授業計画
2019年度の授業は<流浪するアジア>を主なテーマとする。毎回の授業は、外部から招へいしたゲストスピーカーの講義が柱となる。予定している外部講師とテーマは下記「計画」に記した通り。日本語のほか英語、中国語、韓国語、手話を使用する回もあるが、その際には日本語通訳を付ける。なお、講師と演題は変更する場合もある。
春夏学期 月曜日 4限
責任担当教員 イ ヨンスク
日時 | 講師 |
---|---|
4月15日(オリエンテーション) | イ ヨンスク |
4月22日 | 姜 信子(作家) |
4月29日 | 松岡 昌和(立教大学講師) |
5月6日 | 本多 創史(福島県立医科大学教授) |
5月13日 | 嶽本 新奈(明治大学講師) |
5月20日 | 植村 幸夫(東京藝術大学教授) |
5月27日 | 國吉 和子(多摩美術大学講師) |
6月3日 | フフバートル(昭和女子大学教授) |
6月10日 | 呂 美親(国立台湾師範大学台湾語文学系 専案助理教授) |
6月17日 | 木村 晴美(国立障害者リハビリテーションセンター学院 手話通訳学科教官) |
6月24日 | 呉 叡人(台湾中央研究所教授) |
7月1日 | 吉川 良和(一橋大学特任教授) |
7月8日 | 大泉 さやか(東京大学教養学部特任助教) |
7月15日 | 鄭 俊坤(ワンアジア財団研究員) |
2018年度の授業計画
2018年度の授業は<流浪するアジア>を主なテーマとする。毎回の授業は、外部から招へいしたゲストスピーカーの講義が柱となる。予定している外部講師とテーマは下記「計画」に記した通り。日本語のほか英語、中国語、韓国語、手話を使用する回もあるが、その際には日本語通訳を付ける。なお、講師と演題は変更する場合もある。
春夏学期 月曜日 4限
責任担当教員 イ ヨンスク
講師 | テーマ |
---|---|
イ ヨンスク | オリエンテーション |
植村 幸夫(東京藝術大学教授) | 朝鮮の音楽 |
姜 信子(作家) | 記憶の声、沈黙、東アジアの片隅から |
平田 由紀江(日本女子大学准教授) | |
嶽本 新奈(明治大学講師) | 日本近代の女性の移動—からゆきさんを事例として— |
坂元 ひろ子(一橋大学名誉教授) | |
「彩」(画家) | 「ネパールで曼荼羅修行、ヒマラヤを描く旅」 |
Antonetta Bruno(ローマ大学 教授) | |
李 文茹(台湾淡江大学外国語文学院 教授) | |
フフバートル(昭和女子大学教授) | 東アジア諸国の「国語」との比較でみるモンゴル語 |
松岡 昌和(立教大学講師) | |
未定 | |
大泉 さやか(東京大学教養学部特任助教) | ドイモイ後のベトナムにおける文化政策と無形文化遺産の保護 |
2017年度の授業計画
2017年度には流浪するアジアの<音と踊り>に注目します。講義計画は以下の通り(変更可能性あり)。日本語のほか英語、中国語、韓国語、手話を使用する回もありますが、その際には日本語通訳がつきます。
春夏学期 月曜日 4限
責任担当教員 イ ヨンスク
講師 | テーマ |
---|---|
イ ヨンスク | オリエンテーション |
植村 幸夫(東京藝術大学教授) | 朝鮮の音楽 |
吉川 良和(元一橋大学教授) | 盂蘭盆について |
姜 信子(作家) | 記憶の声、沈黙、東アジアの片隅から |
フフバートル(昭和女子大学教授) | 東アジア諸国の「国語」との比較でみるモンゴル語 |
姜 ヒジョン(韓国・西江大学教授) | 国境を越える文化財 |
Sharalyn Orbaugh(ブリティッシュ・コロンビア大学教授) | A comparison of propaganda kamishibai in Japan with Britain's print propaganda |
黄 英哲(愛知大学現代中国学部教授) | 魯迅、藤野先生は台湾へ |
國吉 和子(多摩美術大学講師) | 日本の舞踏 |
Emily Wilcox(ミシガン大学助教) | Diasporic Modernities: Locating East Asia in Global Modern Dance History |
高 地薫(大東文化大学講師) | インドネシア文化?:国民文化と文化の国籍 |
大泉 さやか(東京大学教養学部特任助教) | ドイモイ後のベトナムにおける文化政策と無形文化遺産の保護 |
木村 晴美(国立障害者リハビリテーションセンター教員) | 手話という言語について |
鄭 俊坤(ワンアジア財団主任研究員) | アジア共同体の意味 |