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研究科概要

言語社会研究科とは

どんな人を育てるか(公式ディプロマ・ポリシー)

言語社会研究科は、言語・社会・文化等の研究・教育を通した、人文学諸分野の発展に寄与する専門的かつ独創的な知見を有する研究・教育者の輩出、深い人文的教養をもって現代社会の諸問題を解決する能力を有する高度専門職業人の養成を目標に掲げています。この目標を実現するために、本研究科は「人文総合(第1部門)」と「日本語教育学位取得プログラム(第2部門)」の二部門体制をとり、そのためのカリキュラムを編成しています。

修士課程

修士課程では、所定の年限在学し、所定の単位を修得し、必要な研究指導を受け、以下に掲げる知識と能力を身につけた上で、本研究科が行う学位論文の審査及び最終試験に合格した者に、修士(学術)の学位を授与します。

【修得する能力・資質等】
  1. 自身の専門分野において、研究や高度専門職業人としての業務を遂行する前提となる専門的知見・知識。
  2. 研究対象に関する先行研究や資料を適切に収集し、評価する能力。
  3. 専門家としての倫理性をもって研究を遂行する能力。
  4. 明確な文章で、自身の見解を表現し発信する能力。
  5. 部門ごとに、下記に掲げる知識と能力。
  6. (第1部門・人文総合)
    言語、思想、文学、芸術など人文学全般に関する幅広い教養。
    明確な問題意識と妥当な方法論に基づき、研究対象を独創的な観点から分析する能力。
    (第2部門・日本語教育学位取得プログラム)
    日本語教育、日本語及び日本文化に関する専門的な知識と教育・研究能力。
    異なる文化や価値観を尊重しつつ、自ら課題を見出し、深く考察し、他者と協働して課題解決を図る能力。
【修得した能力・資質等の判定方法】

修得した知識・能力等については、カリキュラム・ポリシーに従って設定された各科目における試験、レポート、授業への関与の度合や質など、また学位論文における調査、研究の質と、議論の内容および表現等に基づいて判定します。

【学位授与の現状】

本研究科の過去3か年(2021~2023年度)の学位授与状況をみると、標準修業年限内で修了した者は約75%、3年以内修了者は約19%、4年以内は約6%となっています。

標準修業年限を超過した学生の中には、年限内に所定の単位を修めたものの、留学、長期履修等の個人の事情に応じて、計画的に標準修業年限を超えて学位を取得した者もいます。第2部門のほうは比較的順調ですが、他方、第1部門においては、修士論文の評価基準として、専門的な知識や先行研究の把握、明晰な文章や明快な論旨等にとどまらず「言語、思想、文学、芸術など人文学全般に関する幅広い教養」や「独創的な知見」が要求されることから、期限内に修士論文をまとめ上げる時間的余裕のない者も少なからずいたものと思われます。第1部門では、学部時代とは全く専門を変えて入学してくる人をも多く受け入れてきましたので、人文学の方法論を一から学ばねばならない人が珍しくありませんでした。今後もそういう学生に対して門戸を開き続けようとするならば、研究科として独自の指導体制にさらなる工夫を加えていく必要がおそらくあるでしょう。

学生ひとりひとりに対し2人以上の教員が指導に当たる複数指導体制を充実させる等の取組を一層進め、学生と教員、また学生どうしの交流をよりしなやかにしていくことで、ひとりひとりの学問が豊かになるだけでなく、標準修業年限内の修了率の向上もまた期待されます。

博士後期課程

博士後期課程では、第1部門・第2部門とも、深い専門的知識と高度の研究能力を有し、それぞれの専門分野において独自の学問的貢献をなしうる人材の育成を目指しています。所定の年限在学し、所定の単位を修得し、必要な研究指導を受け、以下に掲げる知識と能力を身につけた上で、学位論文計画書審査に合格した後、本研究科が行う学位論文の審査及び最終試験に合格した者に、博士(学術)の学位を授与します。

【修得する能力・資質等】
  1. それぞれの専門分野において、独立した研究者としての研究および指導的な高度専門職業人としての業務遂行の前提となる、広範な教養と深い専門的知識。
  2. 当該分野に関する研究成果や資料を的確に把握し、その学術的意義を適切に評価する能力。
  3. 専門的研究者・職業人としての強い責任感と高い倫理性をもって研究を遂行し、後進の指導に当たる能力。
  4. 自らの研究成果を広く積極的に発信する能力。
  5. 深い問題意識と充分な検討を経た方法論に基づき、それぞれの研究対象について精緻な観察と詳細な分析を伴ったオリジナリティの高い研究を進める能力。
  6. 各種の課題を見出し、自らの専門性を活かしながら、その解決に取り組む能力。
【修得した能力・資質等の判定方法】

修得した知識・能力等については、カリキュラム・ポリシーに従って設定された各科目における試験、レポート、授業への関与の度合や質など、また学位論文における調査、研究の質と、議論の内容および表現等に基づいて判定します。

【学位授与の現状】

本研究科の過去3か年(2021~2023年度)の学位授与状況をみると、標準修業年限内で修了した者は約21%、4年以内修了者は約21%、5年以内は約42%、それを超える者は約17%となっています。本研究科学生の標準修業年限の超過事由は留学、勤務先都合、出産・育児の事情等のほか、経済的事情等による執筆の遅れが主なものです。

第2部門では比較的順調に学位を取得していく人が多いのですが、遺憾ながら第1部門では(他の人文学博士課程と同様)、入学してから3年で博士論文を完成させる者はまだ稀です。博士論文の評価基準として、自立した一人前の研究者たるにふさわしい「広範な教養と深い専門的知識」や発信力・指導力・高いオリジナリティ等あらゆる面で水準を超えることが求められている以上、学位論文をまとめるまでに多くの時間を要するのは、当然のことではあります。当研究科、特に第1部門がカバーする人文諸分野では、上記条件を満たし、「当該分野・領域の研究において、将来にわたり独自の貢献を行い得る能力」を獲得するためには、逆説的に「当該分野・領域の研究」を越えた広い知見と視野をも獲得する必要があるのです。

しかしながら、以前のように博士論文を「畢生の大作」「ライフワークの結実」等であるべきものと考える必要はありません。修士修了のレベルをはるかに超えた幅広い知見と強靭な思考力・記述力を身につけるのは確かに生易しいことではありませんが、博士課程に入ったところで気を抜かず、たゆまず執筆努力を続け、研究対象について考え続けることを怠らなければ、留学やフィールドワーク等で必要になる年数を標準修業年数に加えた期間で、誰もが認めてくれる良いものを書き上げることは決して不可能ではないはずです。

博士課程に入って年齢が上がっていけばいくほど、一般に経済的事情は厳しくなり、研究時間の確保が難しくなります。そのことをあらかじめ念頭に置いて、計画的に研究を進めてください。時に焦燥に駆られることもあるでしょうが、適度な息抜きのすべをも身につけつつ、困難を乗り越えていきましょう。複数の教員が常に控えていて、可能な限り相談にのり、助言を行います。また学生全員に十全な経済的支援を行うことは現在の当研究科には到底不可能であるにしても、可能な限り、さまざまな施策を考えていきます。

2025年3月