入試情報
2025年度修士課程 秋季入試案内(第1部門詳細)
一橋大学言語社会研究科第1部門のオンライン「受験相談会」を以下の通り開催します。事前登録制ですので、期日までにお申し込みください。
- 日時
- 2024年8月3日(土)14:00~15:30
- 開催方法
- Zoom(事前にアプリのダウンロードをお願いします)
- 参加方法
- こちらの申込み受付フォームによりお申し込みください。
- 申込期間
- 2024年7月22日~8月2日(日本時間12:00)まで(これ以降の申込みは受け付けることができません)
このミーティングは、みなさんが指導を希望する教員と直接話せる機会を設けるためのものです。研究科や入試に関する説明は、ミーティングの場では行いません。ご参加にあたっては、前もって以下の説明を熟読の上、このページ及び「オンデマンド入試案内のめぐりかた」ページのFAQをも併せてご参照ください。
第1部門(人文総合)概要案内
どんな人を求めるか/どんな人を育てるか
言語社会研究科第1部門は、言語、文学、思想、芸術、さらに種々のメディア形態に対して、生き生きとした関心をもつ学生を求めています。既成の枠組みにとらわれることなく、自由な発想で新たなチャレンジを行う姿勢こそ、言語社会研究科の研究と教育が目指す方向です。(→公式アドミッション・ポリシー)
言語社会研究科は全体として、「言語・社会・文化等の研究・教育を通して、人文学諸分野の発展に寄与する専門的かつ独創的な知見を有する研究・教育者の輩出、深い人文的教養をもって現代社会の諸問題を解決する能力を有する高度専門職業人の養成」を目標に掲げており、所定の期間在籍して所定の単位を取得し、かつ修士学位申請論文の最終審査に合格した者に修士学位号を授与します。学位の名称は「修士(学術)」です。第1部門の修士号は、「言語、思想、文学、芸術など人文学全般に関する幅広い教養」と「明確な問題意識と妥当な方法論に基づき、研究対象を独創的な観点から分析する能力」を身につけたことを証明するものです(詳しくは→公式ディプロマ・ポリシーをご覧ください)。
しかし、「人文学全般に関する幅広い教養」とか、「明確な問題意識」「妥当な方法論」「独創的な観点から分析する能力」とはそもそもいったい何でしょうか! 俄かには判然としない、抽象的な文言が並んでいるように見えることでしょう。これらが具体的にそれぞれどういうことを意味するのか、それこそが、入学後にみなさんがめいめいに学んでゆかねばならないことなのです。
何を学ぶか、学べるか
言語社会研究科第1部門は、「言語と社会の関係」をさまざまな視点から考察研究することを方向性の軸に据えています。人間は常に何らかの社会において生き、社会は常に何らかの言語によって営まれているでしょう。人間と言語と社会との三つ巴の絡みあいを、既存の学問的枠組みにとらわれず横断的な視点から研究すること、それが当部門の特色であり、第一の目的でありかつ手段です。
「何をどのように学べるか」については、「研究科公式カリキュラムポリシー」をご覧になるのもよいのですが、上にリンクを貼ったふたつと併せてみっつの「公式ポリシー」は所詮、昨今の趨勢に従いお役所からの要請によって整備させられたものですので、もちろん嘘はひとつも書いていないけれども、みなさんの目には、やはり抽象的な文言がただ並んでいるように見えるかもしれません。むしろ、以下の説明を参考にして、疑問があったら遠慮なくZoom相談会や質問フォームで尋ねてください。
- ゼミナール(演習)
「横断的な視点から」研究するとは、いうまでもなく、「好き勝手に分野を渡り歩いて、学問のつまみぐいをする」こととは違います。まずは、それぞれの学問分野が発展させてきた理論、方法論、研究成果をきちんとふまえること、その上で、けっして狭隘な専門領域に閉じこもることなく、多方向的な関心を育むことが重要です。そのための核になるものが、一橋大学の特色ともいえる少人数制のゼミナールです。
入学すると、みなさんはまずそれぞれに自分の「指導教員」を選び、その教員が開講しているゼミナール(「演習」)を必ず履修します。ゼミナールは毎年みっつまで履修できますが、「指導教員」が開いているゼミを「主ゼミ」、そのほかの教員のゼミを「副ゼミ」とし、「主ゼミ」をもっぱら足場として場合により複数のゼミを行き来しながら学生生活を送ることになります(下の「7.指導教員と論文指導」を参照のこと)。
ゼミナールでは、少人数教育の利点を存分に生かして、参加者のみなさんのひとりひとりの関心に沿った懇切丁寧な指導をおこなうことが可能です。同じ関心を持つ院生が集まる場所でもあるので、教員を交えた親しい交流の中で、書物からだけでは得られない学問的雰囲気を味わいながら、互いに切磋琢磨することができます。場合に応じて採用される文献講読、調査報告、文章作成、口頭発表など種々の訓練は、研究活動においてだけでなく一般社会におけるキャリアアップのためにも有益なものでしょう。
言語社会研究科の専任教員(および数名の連携教員・協力教員)は、原則として毎年ひとつずつゼミナールを開講しますが、その時々の事情により開講されないこともあります。教員ラインナップと、それぞれの専門分野・研究姿勢、来年度の開講有無などについてはこちらをご覧ください。Zoom相談会にはなるべく多くの教員が参加して、みなさんのお目にかかれるようにしたいと考えています。
- 専門講義と基礎講義
常に最先端の学問研究と接触し、さらに先への展開をめざすことが、言うまでもなく大学院という場に求められる研究態度です。しかしそのために基礎的なレベルでの学習を疎かにしては何にもなりません。本研究科では、ごく専門的な講義群のほかに、各学問分野での基本的な考え方、方法論、研究成果をわかりやすく学ぶための「基礎講義」科目を設定しています。自分の専門分野の基礎のおさらいをしたい人はもちろん、新しい分野にチャレンジしたい人も履修できるように、これら基礎講義科目群は、参加者にあまり高度で限定された専門性を要求せず、誰でも比較的気楽に履修することができるような、いわば大学院レベルの教養教育科目として設定されています。専門講義と基礎講義、および上記のゼミナールを上手に組み合わせて、自分だけの専門分野を構築してください。開講科目一覧は→こちらにあります(2024年度ぶん)。
- 文献演習
いかなる研究においても、外国語文献の読解はもっとも基礎的で必要な作業であることは言うまでもありません。研究対象が当該言語そのものでなくても、資料調査や先行研究閲読のためには一定の外国語能力が必要になりますし、実社会に出れば高い外国語能力を生かすべき機会は数々あります。「文献演習」では、正確なテクスト読解という最も基本的なレベルから、種々の領域の多様なテクストタイプに習熟すること、テクストを成り立たせている文化的・社会的コンテクストの理解に至るまで様々な訓練を行い、真の外国語能力の維持・育成をめざします。
- 実習系科目
第1部門で目下開講されているのは、「博物館実習」と「就業体験実習」の二つです。「博物館実習」はもっぱら学芸員資格取得のためのものです。学芸員資格取得プログラムは、2002年の設立以来研究科としてとても力を入れてきたもので、大きな成果を挙げて社会的にも高く評価されています。「就業体験実習」は、いわゆるインターンシップを指し、誰でも参加を申し込むことができます。研究科が仲介する受入先のほかに、自分の研究と関連性を持つ適切な受入先を自力で探してインターシップを行ない、単位認定を申請することもできます。
- 他研究科科目・学部教養科目の履修
言語社会研究科は比較的小規模で、にもかかわらず各教員の専門分野が多岐にわたっているため、上記のように横断的研究の足場としての長所がある一方、個々の分野に関連する授業科目が潤沢とはいえない、という短所もあります。これを補うために、修了要件単位の一部に、一橋大学内の他研究科および学部発展共修科目、全学共通共育発展共修科目の単位をあてることができるようになっています。ひとりひとりのニーズに応じた勉学の発展のために、これらの外部科目を履修・聴講することを積極的に推奨しています。せっかく同じキャンパスの中でさまざまな授業が行われているのですから、ぜひとも活用してほしいものです。本研究科の教員はアンダーの共通教育授業も多く開講していますから、それらに参加するのも、大いに有意義です。近年では研究科スタッフによるリレー講義「人文学入門」を共通教育科目として提供しており、人気を博しています。
- 第2部門の授業への参加
同じ研究科内にあっても、第1部門と第2部門は基本的に全く切り離されて運営されていますが、第2部門の授業も、担当教員の許可があれば履修ないし聴講することができます。研究対象によっては、第2部門の授業も大いに活用が望まれます。
- 指導教員と論文指導
上記のように入学するとまず「指導教員」を決めます。足場としての「主ゼミ」を履修しながら、もっぱらこの指導教員のもとで修練を積み、修士・博士論文を執筆することになります。多くの場合は、「主ゼミ」を中心に「副ゼミ」や講義、文献演習などを組み合わせて自分の履修計画を立てるのですが、これも必ずしも固定した枠組みではありません。これも上記のようにゼミはみっつまで履修できますし、実質的に複数の教員の指導を受けることがむろん可能で、むしろ推奨されることでさえあります。指導教員のゼミ(主ゼミ)に「所属する」という言い方が、一橋大学全体の慣習としてしばしば用いられますが、この「所属」という観念に縛られる必要はありません。一対一に固着した関係ではなく、多対多の豊かな関係のなかで、研究の方向性を徐々に収斂させてゆくのは、たいへん好ましいことです。また、修練を積むうちに自分の研究の方向性がだんだん変化していくことは常にありうることですので、そういう場合には所定の手続きを経て指導教員を変更することもできます(半期ごとに変更可能です)。
ここで、ついでに博士論文についても簡単に説明しておきましょう。修士論文は、修士課程修了のための必須要件のひとつですが、博士課程では、博士学位論文を書かなくても、修了に必要な単位を取得したうえで博士論文執筆計画書(プロポーザル)を提出し、合格した場合、「単位取得退学」として扱われます。しかしながら、博士課程に進もうとする人は、できるかぎり将来の博士学位論文の執筆を目標にしてください。博士学位が「研究者としての長年のキャリアに与えられた栄誉」である時代は終り、「独立した研究を営む能力をもつことの証し」となりました。研究職を志望する場合はむろんのこと、学術研究を一生のキャリアとしない場合にも、国際機関や知識産業において博士学位が要求される時代です。長い時間と労力を要する論文執筆が実りあるものとなるよう、研究科としてできる限りのサポートをします。
- 論文の公開媒体――研究科紀要『言語社会』と英語論文誌 ”Correspondence”
本研究科独自の紀要『言語社会』(査読あり)は、教員・学生を問わず、研究成果発表の最も身近な場となっています。研究科が推進している種々の共同研究プロジェクトの成果なども随時特集に組まれ、紀要はいわば研究面における本研究科の「顔」といってよいでしょう。修士課程の学生も投稿できることは、『言語社会』の大きな特徴のひとつです。学生による投稿は、学内・学外の厳正な査読を経て掲載が決定されます。目下のところ年に一度の発行です。
- 長期履修制度について
週32時間以上就労している人や、種々の事情によりフルタイム学生として就学が困難な人のために、柔軟に修士課程の標準修業年限(2年)を超えて履修し学位を取得できるようにする「長期履修制度」を用意しています。詳しくは→こちらをごらんください。
入試案内
入試日程については、→こちらの専用ページでよくご確認ください。募集要項等必要書類のダウンロードは→こちらです(日程のページからも飛べます)。
注意事項
詳しいことはみな募集要項に記してありますが、枢要な注意事項を以下に補足・抽出しておきます。出願のさいはよくお気をつけください。
- 研究計画書について。入学後に指導を希望する指導教員については、めどがついていない場合には「未定」として構いませんが、予定している研究テーマ(研究題目)は「未定」とせず、必ず記入してください。計画書に記載した題目や研究テーマが入学後に変化していっても何ら問題ありません。最終的に確定したものでなくとも、出願時点での関心・興味の所在や、おおまかな方向性でも構いませんので、必ず記載してください。
- 「補助資料」は2点まで提出可能です。要項には記載がありませんが、要旨は簡潔に200字以内を目安にしてください。なお、補助資料の有無が一次試験の判定に影響することはありません。
- 募集要項の「3.出願手続・出願期間」のところをよく読んで、間違いのないように手続を進めてください。出願手続には、①Web出願、②検定料の納入、③出願書類の郵送、のみっつが必要です。どれが欠けても出願手続は完了しませんので、よくよく注意してください。
- 自然災害の発生等によって、二次面接試験全体を遠隔実施などに変更、または中止する可能性があります。そのような場合には、「入試日程」のページに最新の情報を掲載しますので怠りなくご確認ください。試験を遠隔実施する場合、受験者各自に、Web カメラやマイク(および電話)などの機器を用意していただく必要がありますが、そのときには、用意すべきものについても同ページでお知らせします。
なお、過去の問題をご覧になりたい場合、→こちらのページから論文問題が閲覧できます。語学の問題は、当研究科事務室でのみ閲覧できます(ただし複写はできません)。
説明はひとまず以上です。下のFAQ、および第1部門・第2部門共通ページのFAQをもご参照の上、なおわからないことがあれば、上記の相談会申込フォームで、あるいは相談会に出席ご予定のない場合にはこちらの質問フォームでおたずねください。
それでは、多くのみなさんとZoomで「対面」できることを願っています。
入試FAQ よくある質問 第1部門向け
入試・出願について
- 外国語試験では、会話能力も試されるのでしょうか。
- 外国語試験では会話能力は試されません。仮に新型コロナ状勢により試験全体の形式に変更があったとしても、その点に変わりはありません。
- 要項には、第二外国語の選択について、「日本語・日本文化論を専攻する者については、第二外国語の試験を日本語古典文献の読解をもって代えることができ」るとあります。「日本語・日本文化論を専攻する者」の基準を教えてください。また「日本語古典文献の読解」は具体的にはどのような中身なのでしょうか。
- 「日本語・日本文化論を専攻する者」とは、本研究科にて日本語・日本文化を研究したい者という意味です。「日本語古典文献の読解」とは、いわゆる古文・漢文の中から出題し、その読解を問う、ということです。
- すでに他大学の修士課程を修了した者です。このたび言語社会研究科を受験するにあたり、研究テーマを少々変更したいと思っているのですが、執筆済みの修士論文を提出してもいいでしょうか。それとも、新しい研究テーマに即した論文を新たに書いて提出するほうがよいでしょうか。参考資料は2本までとなっていますが、上記の両方を提出するということは、ありうるでしょうか。
- 両方提出してくださっても、どちらか一方でも構いません。あくまでも参考資料ですので、既執筆修士論文だけを提出なさっても、それで不利になることはありません。
入学後のこと
- 自分が研究したいテーマが、言語社会研究科第1部門にふさわしいかどうか知りたいです。
- Zoom相談会に参加なさるかたは、上の申し込みフォームに質問をお記しくださるか、Zoom相談会で直接おたずねください。相談会に参加予定のないかたは、こちらの質問フォームに、ご自身がどういうことを研究したいと思っているかについて記載してくだされば、このFAQでお答えできる限りお答えします。
- 海外留学プログラムへの参加と学芸員課程の履修は両立できるでしょうか。
- 制度的には問題ありません。在学中に必要単位をすべて取ることができればよいのですから、課程の途中で留学を挟んでも構いません。ただもちろん、海外へ出ている間は学芸員課程の単位は取得できませんから、その点にはご留意ください。