教員と研究領域/第1部門(人文総合)
小関 武史
研究室: | 東キャンパス国際研究館5階 |
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オフィスアワー: | 月曜日 10:45~12:30(事前にメールで予約を取ること) |
連絡先: |
研究概要とメッセージ
研究分野は18世紀フランス文学・思想史で、とくに『百科全書』の研究を中心に据えています。
最初に関心を寄せたのは、『百科全書』に描かれた東洋(とくに中国と日本)のイメージでした。私自身が異文化を自文化とのかかわりにおいてとらえようとする一方で、私にとって異文化である18世紀フランスの精神もまた、それにとっての異文化を理解しようと努めている――そのことに強く興味を惹かれたからです。
次第に、私は『百科全書』の典拠に注目するようになりました。『百科全書』に項目を寄稿した人々は、自分の目で東洋世界を見たわけではありません。東洋に関するすべての項目を、何らかの文献に依拠して記しています。数ある文献の中からどれを選んだのか、選んだ文献の記述に何を足し、そこから何を削ったのか。そうした操作のうちにこそ、項目執筆者自身の思想が現れています。これは東洋関連項目に限ったことではなく、先行文献からの借用が大きな比重を占める『百科全書』全般に当てはまります。つまり、典拠研究は『百科全書』の知のあり方を実証的に探ることに通じます。
さらに、図書館でさまざまな古い文献を手に取って調べているうちに、私はモノとしての書物にも関心を抱くようになりました。一橋大学には、社会科学古典資料センターという西洋貴重書の宝庫があります。世界中のどこを探しても見つからない文献が、ここに埋もれているかもしれません。
このように、ある一つのテーマを追いかけていると、研究領域が自然と拡がってゆくことがあります。大学院に入ったばかりの頃は、何を研究すべきか方向性が定まらないかもしれませんが、まずは一つのことを掘り下げてみてください。
ゼミ(演習)では、フランス語の文献を読みます。翻訳は上手に使えばよいのですが、語学力はやはり重要です。回り道に見えるかもしれませんが、精読の訓練を積むことによって、文献を正確に読む能力や問題を立てる能力が磨かれることでしょう。フランス語の読解力を鍛えたいという学生による、副ゼミとしての履修も歓迎します。
2020年3月