教員と研究領域/第2部門(日本語教育学位取得プログラム)
石黒 圭
研究室: | 国際研究館3階 連携教員室 |
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オフィスアワー: | 随時。事前にメールでの連絡をお願いします。 |
連絡先: | 上記ウェブサイトのトップページにあります。 |
研究概要とメッセージ
第2部門で石黒研究室を志望する人。それは、多くの場合、行き先がなくて困っている人です。
第2部門は、日本語・日本語教育・日本社会・日本文化など、日本に直接・間接に関わることにテーマが限定されており、一橋大学国際教育センターや国立国語研究所といった外部のサポートを得ています。そのため、とくに日本語学、日本語教育学を専門にしたい人の場合、「この先生が自分の専門に近い」と言える先生がいる確率が高いのが特徴です。
それでも、研究テーマによっては、ぴったりくる先生が見つからないケースがあります。そうしたときに選択肢に上がるのが石黒研究室です。つまり、消去法で選ばれる研究室というわけです。
私自身、専門は何かと聞かれると戸惑います。紙に書くときには、その時々におうじて以下の三つを書き分けています。
- 日本語学・日本語教育学
- 文章論・談話分析
- 読解教育・作文教育
ただし、厳密な意味で自分が専門にしたいと考えているのは、人間の言語処理の過程全般です。すなわち、言語という記号を介した「読む」「書く」「聞く」「話す」という行為を人間は瞬時にやってのけるわけですが、そのプロセスやメカニズムがどうなっているかを知ることが、私のライフワークです。とりわけ、日本語学習者がそうした処理をどのように行い、また、そうした処理能力をどのように身につけていくかに関心を持って研究を進めています。
また、もう一つの関心事は「難しい日本語」です。第2部門には「やさしい日本語」の大家である庵教授がいらっしゃいます。私も「やさしい日本語」には興味がありますが、それ以上に「難しい日本語」に興味があります。難しい日本語の典型は、大学では「学術日本語」、実社会では「ビジネス日本語」です。前者は論文・レポート、講義・ゼミ談話など、後者は企画書・報告書・ビジネスメール、会議・交渉談話などがあります。こうした「難しい日本語」に、プロジェクトなどをつうじて積極的に関わっています。
さらに、最近凝っているのが、ピア・レスポンスやピア・リーディングなどの協働学習です。AI時代の到来を迎え、人間どうしで学ぶことの意義を問いなおし、深めることが必須だと感じています。その意味で、学習者が主体的に取り組み、そのなかで変容していく協働学習こそが、教室で学ぶことの意義を明らかにしてくれる可能性が高いと確信しています。「難しい日本語」を協働学習で学ぶ時代では、日本語母語話者・日本語学習者などという区別や、小中高大という区別はあまり意味がなく、むしろ連携を模索する時代に来ているといえるでしょう。そうした観点から、初等・中等教育における第一言語としての学習言語の習得や、大学における初年次教育・リメディアル教育にも興味がわき、いくつかの調査を試みています。
このように、日本語と日本語教育のことなら何でも知りたい、やってみたいというのが私の考えであり、そうした考えに共鳴してくれる人が石黒研究室の扉を叩いてくれているようです。専門という名の狭い檻に閉じこもりたくない方の来訪を心からお待ちしています。