教員と研究領域/第1部門(人文総合)
有賀 暢迪
研究室: | 東キャンパス国際研究館5階 |
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オフィスアワー: | 随時(事前にメールで予約を取ること) |
連絡先: |
研究概要
専門は科学史です。主に物理学・数理科学の歴史と近現代日本の科学技術史という二つの領域で研究を行っているほか、歴史資料の保全とアーカイブ化に取り組んでいます。興味関心は多岐にわたり、主たる研究テーマとしては、古典力学の歴史、コンピューター・シミュレーションの歴史、日本における物理学の教育・研究の歴史、科学技術に関する展示の歴史、などが挙げられます。
私が取り組んでいる科学史の研究は、扱う対象こそ「理系」ですが、方法論としては完全に「文系」です。過去の文献や資料を探して読み、解釈し、表現する。それがすべての基本となります。ただし、そうした人文学の研究のためには、過去の文献や資料が保存され、利用可能となっていなくてはなりません。狭い意味での研究と並んで、文献・資料の保全とアーカイブが私のもう一つの関心事となっています。
メッセージ
大学院の演習は、科学技術史(科学史または技術史)の専門家を育てることを第一の目的としています。ですが、「専門家」とは、大学でその分野の教育・研究を行う人とは限りません。ここ言語社会研究科でいえば、哲学、文学、芸術などを専攻しつつ、それぞれの立場から科学技術について深く考察できる人も立派な専門家だと思います。さらにいえば、大学に所属している必要すらありません。いわゆる「社会人」として仕事をしながら、科学技術史を探求し続ける選択肢もあるはずです。演習の授業では、以上のようなことを念頭に置きながら、科学技術史の研究動向や方法論を幅広く取り上げます。
また、私は、学芸員資格取得プログラムの授業科目の一部を担当しています。ここでは、国立科学博物館に勤務した自身の経験もふまえて、博物館の現場でよい仕事のできるプロフェッショナルを育てたいと考えています。学芸員の仕事には、調査研究だけでなく、資料の収集・保存や展示、教育普及など、さまざまな業務があります。これらの実践が研究論文という形をとることは多くありませんが、その過程には、読んで解釈して表現するという人文学のプロセスが伴います。この意味で、やはり一種の学問と言えるのではないでしょうか。資格取得を目的としない学生さんの受講も歓迎する所以です。
2022年3月