教員と研究領域/第1部門(人文総合)
安西 なつめ
研究室: | 東キャンパス国際研究館5階 |
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研究概要
医学史×哲学×医学
「人体に対する知識と理解、またその探究方法はどのように変化し、周知、更新されるか」。
この問いに対し、西洋における古代から現代までの医学書、解剖学書、学術雑誌を主な資料に、人文学の手法を用いて解明を目指します。
メッセージ
人体を切り開いてその目で見るとき、図鑑や医学書に描かれている人体と実際の人体とは多くの点で異なっていることに気付きます。描かれ、記述される人体は、時にある部分が省略・強調され、統合され、その結果、誰のものでもあって誰のものでもない体が提示されることになるからです。過去の医学書や解剖学書の中には、実際にはない構造が記されている、あるいは、実際にはあるはずの構造が認識されていないといったことが度々見出されます。観察対象を科学的に記録しようとするとき、情報は取捨選択され、伝達され、誤って認識され、それが修正されて、いつしか正しい知識になっていく。この知の探究におけるプロセスが、人体内部という限られた空間においても、過去何世紀にもわたって繰り広げられてきました。人体の理解とは、人がほかならぬ自身を知るために行う際限のない探究です。
担当する授業では人体(あるいは身体)を知るというこの現在進行形の営みを歴史の観点から探究し、過去の事例を現代社会の諸問題解決に結びつけるため、必要に応じて現代の知見や先端技術を紹介します。特に演習では、歴史、思想、文化の観点から、広く「人体(身体)」、「健康」、「病」、「生」、「死」等のトピックに関心を持つ学生や、医学に限らず「科学的態度」、「学問上の知識の共有と伝達」などのテーマを歴史上の事例に基づいて探究しようとする学生に向けて、多様な問題提起および解決法を試みる場の提供を心掛けます。
2024年2月