教員と研究領域/第2部門(日本語教育学位取得プログラム)
栁田 直美
研究室: | 国際研究館2階 |
---|---|
オフィスアワー: | 随時。要予約。 |
連絡先: |
研究概要とメッセージ
人と人が出会ったとき、人はお互いを理解しようとし、そこにコミュニケーションが生まれます。しかし、お互いを理解したいと思いながらもコミュニケーションには摩擦が生じ、誤解が生じ、破綻してしまうこともあります。それでもなお、お互いを理解するためにはどうしたらよいか、どのような方法があるのか、どのようにコミュニケーションをデザインすればお互いの考えを伝えあうことができるのか、それを考えるのが異文化間コミュニケーション研究です。
「接触場面」という言葉をご存知でしょうか。接触場面というのは、母語話者と非母語話者がコミュニケーションを行う場面のことを指します。いわゆる異文化間コミュニケーションが発生しやすい場所です。
この分野に興味を持ったのは、大学在学中、地域のボランティア日本語教室で学習者に言われた「先生の話す日本語はわかるけど、会社の人の日本語は全然わからない」という一言がきっかけでした。 異文化間では、お互いに何らかの調整をしながらコミュニケーションが進行していきます。恐らく、私と会社の人とでは調整の方法が違ったのでしょう。
「では、母語話者がどのような調整をすれば、非母語話者に伝わりやすくなるのだろうか?」 「その調整の方法がわかれば、きっとあの学習者と会社の人のような人たちがうまくコミュニケーションできるようになるはずだ。」
そう思った私は、以来、「接触場面における母語話者の言語行動」、「やさしい日本語」、「話し合い」、そして、それらの言語行動に対して受け手が行う「評価」について考え続けてきました。 日本は今、多文化共生社会へ変貌を遂げていますが、我々はまだそのような社会に適したコミュニケーション方法を模索中です。だからこそ、私はこの問題について考え続ける意味があると思っています。
何らかのコミュニケーション上の調整がなされているのは、母語話者どうしであっても、友人であっても、家族であっても変わりありません。そう考えると、それらも一つの異文化間コミュニケーションでしょうし、異文化間コミュニケーション研究の可能性は大きいと言えるのではないでしょうか。
もちろん、研究の場も異文化間コミュニケーションの大いなる実践です。 言語社会研究科で、ぜひ、みなさんとの魅力的な異文化間コミュニケーションを楽しみ、ともに学んでいけたらと思っています。